[T] Vol.15より抜粋 (発行:Dec.2004)
今回からは新たなテーマとして「スクエアフォーマット」について考えて行きたいと思います。
さて「正方形」という形は古いのでしょうか。それとも新しいのでしょうか。その答えは出ませんが、新しくないことは事実です。現に古代エジプトのピラミッド底辺部は正方形で、いつの時代から出来たか解りませんが、枡やサイコロもそうです。それは単純にデザイン上の問題でなく、正方形でなければならない理由も存在します。この世の中にはその他様々な正方形が存在します。では長方形はどうでしょう。正方形に比べて今や大半が長方形であることは間違いありません。中世ヨーロッパで提唱された黄金分割のようにこの世の中に自然に溶け込む形が長方形なのです。この形は当時の絵画や建築物を見ると一目瞭然で、それは現代も受け継がれて今後も絶えることはないでしょう。そしてそれは我々写真に携わる者にも大きく影響していることは言うまでもありません。35mm・セミ判・6x7cm・6x8cm・6x9cm・4x5in・5x7in・8x10inなど銀塩サイズの殆どが長方形です。その中にあって6x6cmが唯一の正方形になるわけですが、「正方形の構図は難しい」、「また正方形で撮ったが、印画紙が長方形なので不経済だからトリミングして印画紙のフルサイズでプリントした」などとよく聞きます。果たしてそれは正解でしょうか。
そこでそういう方にご提案いたします。逆の発想をしてみることです。世の中は長方形だらけなのですから、正方形が新鮮に見えるのではないでしょうか。また正方形は魅せ方によって様々なイメージを宿らせることや、標準レンズでありながら広角や望遠レンズの効果を与えたりすることも可能な、融通の利く形なのです。そんな正方形を経験されていない方、躊躇されている方には、是非、スクエアフォーマットの世界へお越しください。後悔させません。
|